2027年4月から不動産売買の本人確認はどう変わる?マイナンバーカード以外の方法と準備
不動産を売るとき、または買うとき、不動産会社から運転免許証やマイナンバーカードなどの提示を求められることがあります。
これは契約当事者を確認するだけでなく、犯罪で得た資金を正当な取引によるものに見せかける「マネー・ローンダリング」などを防ぐためでもあります。
2027年4月1日から、犯罪収益移転防止法に基づく本人確認の方法が変わります。
正確には、新しい本人確認制度が一から始まるのではなく、犯罪収益移転防止法施行規則が改正され、本人を確認する具体的な方法が見直されます。
大きな変化は、本人確認書類の券面やコピーだけに頼る方法から、ICチップに記録された情報などを使って書類の真正性を確認する方法へ移ることです。
水戸市周辺の不動産を県外から売却する場合や、共有者・代理人が関わる取引では、本人確認書類や郵送の準備に時間がかかることもあります。
2027年4月から何が変わるのか。マイナンバーカードを持っていない場合はどうすればよいのか。
売主・買主の立場から、必要なポイントを整理してみます。
対象は不動産の「売買」。賃貸とは分けて考える
犯罪収益移転防止法では、金融機関や宅地建物取引業者など、法律上一定の義務を負う事業者を「特定事業者」としています。
宅地建物取引業者もその一つです。
不動産会社が宅地や建物の売買契約を締結するとき、または売買の代理・仲介をするときには、法令に基づく「取引時確認」が必要になります。
個人の場合、確認される主な内容は、
- 氏名
- 住居
- 生年月日
- 取引を行う目的
- 職業
です。
一方、宅地建物の賃貸については、宅地建物取引業者に課される犯罪収益移転防止法上の特定業務の対象とはされていません。
ただし、賃貸契約でも入居審査や契約の安全確保など、別の目的から本人確認書類を求められることはあります。
本人確認を求められること自体が、「不動産会社から疑われている」という意味ではありません。
不動産は取引金額が大きいため、取引相手や目的を確認し、記録を残す仕組みが設けられています。
2027年4月1日から変わるのは、主に「本人を確認する方法」

これまでの本人確認では、対面で顔写真付き本人確認書類の原本を確認したり、オンラインで本人の顔と本人確認書類を撮影したり、書類の写しと郵便を組み合わせたりする方法が認められていました。
2027年4月1日以降は、このうち一部が廃止・見直しされます。
| 場面 | 2027年3月までの代表的な方法 | 2027年4月以降の主な変更 |
| 対面 | 顔写真付き本人確認書類の原本を提示 | ICチップ付き顔写真書類では、原本提示に加えてICチップ情報の読み取りが必要 |
| オンライン | 顔と本人確認書類の画像を送信する方法など | 顔+書類画像だけで確認する方式は廃止。ICチップ情報を利用する方法などが残る |
| 郵送等 | 本人確認書類の写しと転送不要郵便を組み合わせる方法など | 国内居住者について、写しを使う一部方式は廃止。一定の公的書類の原本と転送不要郵便を組み合わせる方法などが残る |
※制度上認められる方法をすべて掲載したものではありません。本人確認書類の種類や居住地、取引方法などによって利用できる方法は異なります。
対面でマイナンバーカード、運転免許証、在留カード、特別永住者証明書、日本国旅券などのICチップ付き顔写真書類を利用する場合には、書類を見せるだけではなく、ICチップの情報を読み取ることが必要になります。
オンラインでは、現在認められている「本人の顔+本人確認書類の画像」を送るだけの方式は廃止されます。
一方、
- 本人の顔の画像+本人確認書類のICチップ情報
- 一定の電子証明書
- 一定の本人確認書類の原本+転送不要郵便
などによる確認方法は残ります。
そのため、2027年4月以降に「オンライン本人確認ができなくなる」ということではありません。
法令上認められている方法と、実際に不動産会社が採用する方法は別です。
利用するアプリや読み取り機器などは会社によって異なるため、実際の手続きは担当する不動産会社へ確認してください。
マイナンバーカードは必須ではない

「ICチップを読み取るなら、マイナンバーカードがないと不動産を売買できないのでは」
と思う方もいるかもしれません。
2027年4月以降も、マイナンバーカードだけが本人確認の選択肢になるわけではありません。
ICチップ付きの本人確認書類としては、たとえば、
- 運転免許証
- 在留カード
- 特別永住者証明書
- 日本国旅券
なども想定されています。
また、ICチップ付き本人確認書類を持っていない場合に対応するため、一定の補完的な確認方法も用意されています。
そのため、
「マイナンバーカードを持っていないから不動産を売れない」
ということではありません。
ただし、オンラインで利用できる方法については、不動産会社がどの本人確認システムを導入しているかによって違います。
運転免許証を使う場合は「暗証番号」も確認しておく
従来型の運転免許証にもICチップが搭載されています。
2027年4月以降、対面で運転免許証を利用する場合には、免許証を提示するだけではなくICチップ情報の読み取りが必要になります。
警察庁は、運転免許証のICチップ情報を読み取る際には、免許取得・更新時などに設定した2つの暗証番号が必要と案内しています。
「免許証は持っているけれど、暗証番号を覚えていない」
という方もいるでしょう。
暗証番号を忘れた場合は、警察署などで確認できるとされています。
不動産の売買契約直前になって慌てないよう、運転免許証を本人確認に使う予定であれば、暗証番号についても早めに確認しておくと安心です。
オンラインでは免許証の表裏を撮影するだけの方法が使えなくなる
遠方から不動産を売却するときには、オンラインで本人確認を行うことがあります。
現在は、スマートフォンなどで本人の顔と運転免許証などを撮影し、その画像を送って確認する方式があります。
2027年4月以降、この「顔+本人確認書類の画像」による方式は廃止されます。
代わって、ICチップ付き本人確認書類については、専用のアプリなどを利用してICチップ情報を送信する方法などが中心になります。
警察庁も、非対面の本人確認では、原則として本人確認書類の画像や写しではなくICチップ情報を利用すると案内しています。
県外から水戸市周辺の不動産を売却する場合には、
「オンライン本人確認に対応しているか」
「運転免許証でも利用できるか」
「どのスマートフォンやアプリが必要か」
などを事前に確認しておくとよいでしょう。
在留カード・特別永住者証明書・パスポートを使う場合
在留カードや特別永住者証明書など、ICチップを搭載した顔写真付き本人確認書類についても、所定の方法でICチップ情報を読み取り、本人確認に利用する方法があります。
日本国旅券(パスポート)も、対象となるICチップ付き顔写真書類として警察庁の資料に例示されています。
ただし、現在の日本国旅券には住所欄がありません。
犯罪収益移転防止法上は氏名だけでなく「住居」の確認も必要なため、旅券だけでは現在の住所を確認できない場合には、別の本人確認書類や補完書類などを求められることがあります。
どの組み合わせで利用できるかは、事前に不動産会社へ確認してください。
住民票の写しなどと転送不要郵便を組み合わせる方法も残る
対応するICチップ付き本人確認書類を持っていない場合などには、別の方法を利用できるケースがあります。
2027年4月以降も、偽造・改ざん対策が施された一定の写真なし本人確認書類の原本を利用し、取引関係文書を転送不要郵便で送る方法などが残ります。
代表例として挙げられているのが、住民票の写しなどです。
ここでいう「住民票の写し」は、市区町村から交付された証明書そのものです。
自宅のコピー機でコピーしたものを送るという意味ではありません。
また、
「運転免許証やパスポートそのものを不動産会社へ郵送すればよい」
という意味でもありません。
郵送による確認を利用する場合は、必ず不動産会社から指定された書類と方法を確認してください。
本人限定受取郵便を利用する方法もある
取引関係文書を「本人限定受取郵便」などで送る本人確認方法もあります。
この方法では、配達時に本人確認が行われます。
2027年4月以降は、本人限定受取郵便を使う方式についても、写真付き本人確認書類を使う場合はICチップ付き書類に限定され、ICチップ情報の読み取りが必要になります。
すべての不動産会社がこの方法を採用するとは限らないため、実際に利用できるかは担当者へ確認してください。
電子証明書による本人確認も残る
電子証明書を利用した本人確認方法も引き続き認められます。
公的個人認証サービスの電子証明書など、法令で定められた電子証明書と電子署名を利用する方法です。
ただし、
「電子契約サービスで電子署名をしたから、それだけで犯罪収益移転防止法上の本人確認も終わる」
というわけではありません。
契約時の電子署名と、犯罪収益移転防止法で求められる本人確認は、利用している仕組みや要件によって扱いが異なります。
不動産会社が採用している方法を確認してください。
海外に住んでいる場合は確認方法が異なることがある
国外に住んでいる方や、日本国内に住居のない外国人などについては、国内居住者とは異なる本人確認方法が設けられています。
2027年4月の改正でも、こうした方については一定の例外的な確認方法が用意されています。
海外から相続した不動産を売却するような場合には、
- 現在の居住国
- 国籍
- 手元にある旅券などの書類
- 国内に住民票があるか
- 代理人を利用するか
などによって必要な準備が変わる可能性があります。
海外から手続きを進める場合は、契約直前ではなく、売却相談の段階から不動産会社へ事情を伝えておくとよいでしょう。
マイナンバーカードの「12桁の個人番号」を提出するわけではない
マイナンバーカードを本人確認に使う場合についても、一つ注意があります。
一般的な不動産売買における身元確認のために、カード裏面に記載された12桁の個人番号そのものを提出するという意味ではありません。
個人情報保護委員会は、身分証明書として個人番号カードを使用する場合、カード表面のコピーは可能とする一方、番号法で認められた場合を除き、裏面の個人番号をコピーすることはできないと案内しています。
そのため、担当者から明確な案内がない状態で、マイナンバーカードの裏面を撮影してメールなどで送らないよう注意してください。
本人確認書類だけではない。取引目的や職業も確認される
個人の売主・買主について、犯罪収益移転防止法上確認される本人特定事項は、氏名・住居・生年月日です。
これに加えて、取引を行う目的・職業も確認されます。
たとえば売主なら、
「相続した不動産の売却」
「住み替えに伴う自宅の売却」
など、実際の事情に沿って答えればよいでしょう。
買主についても、居住用、事業用など実際の取引目的を申告します。
ここで注意したいのは、「取引目的の確認」と「宅地建物取引業の免許が必要かどうか」は別の問題だということです。
個人が自分の不動産を売却しただけで、通常直ちに宅地建物取引業に当たるわけではありません。
一方、不特定多数の人を相手に、利益を目的として宅地・建物の売買を事業として反復継続するなど、取引の実態によっては宅地建物取引業の免許が必要になる可能性があります。
免許が必要かどうかは、単純な売買回数だけではなく、
- 取引の相手方
- 取引の目的
- 物件を取得した経緯
- 販売方法
- 反復継続性
などを総合して判断されます。
相続した不動産や、住み替えに伴って自宅を処分する場合などは、国土交通省の運用上、事業性が低い事情の例として挙げられています。
一般的な売主が過度に心配する必要はありませんが、転売目的で物件の取得・売却を繰り返しているなど特殊な事情がある場合は、別途確認した方がよいでしょう。
法人・代理人・共有名義では確認する人が増える
法人が売主・買主になる場合には、法人の名称や本店などの所在地、取引目的、事業内容に加え、「実質的支配者」も確認対象になります。
実質的支配者とは、議決権の保有などを通じて、その法人を実質的に支配している個人をいいます。
代表者や担当者など、実際に取引手続きをする人についても本人確認が行われます。
代理人が契約手続きをする場合には、所有者・購入者本人だけでなく、代理人についても本人確認が必要になります。
そのほか、委任状など代理権を確認するための資料が必要になる場合があります。
共有名義の不動産の場合は、共有者それぞれの意思確認や必要書類も整理しておきます。
誰が、どの立場で手続きを行うのかを早めに確認しておくと、その後の手続きが進めやすくなります。
なお、不動産会社による取引時確認とは別に、所有権移転登記などを担当する司法書士や、住宅ローンを取り扱う金融機関から、それぞれの業務に必要な本人確認を求められることがあります。
不動産会社で一度本人確認を済ませれば、ほかの手続きでもすべて共通して使えるというわけではありません。
遠方売却では「郵送にかかる時間」まで考える
水戸市周辺に実家や土地を所有していても、現在は東京や他県で暮らしている方もいます。
相続した不動産を売る場合には、
「何度も水戸まで行くのは難しい」
ということもあるでしょう。
2027年4月以降は、本人確認書類のコピーを郵送したり、免許証の画像を送信したりするだけでは利用できない方式が増えます。
そのため、契約日から逆算して本人確認の方法を確認しておくことが大切です。
郵送方式を利用する場合には、住民票の写しなど一定の公的書類の原本を送り、その書類に記載された住居へ転送不要郵便が送られる方法などがあります。
転送不要郵便は、通常の転居届を出していても新住所へ転送されません。
本人確認に利用する住所と現在の居住状況が違う場合は、特に早めの確認が必要です。
また、住民票の写しや印鑑登録証明書などについても、本人確認や登記手続きで利用する際には取得時期などの条件が設けられる場合があります。
必要になってから取り直すことがないよう、取得するタイミングについて担当者へ確認しておきましょう。
売主・買主が早めに確認しておきたいこと
本人確認は契約日の直前になって初めて準備するより、売却・購入の相談を始めた段階で確認しておく方がスムーズです。
確認しておきたいのは、次のような点です。
- 本人確認書類の氏名・住所が現在の情報と一致しているか
- 運転免許証、在留カード、マイナンバーカードなどが有効期間内か
- 運転免許証を使う場合、2つの暗証番号を確認できるか
- 不動産会社が対面・オンライン・郵送のどの本人確認方法に対応しているか
- 共有者や代理人など、本人以外に手続きへ関わる人がいるか
- 県外・海外から手続きする場合、郵送を含めて日程に余裕があるか
- 本人確認書類の送信先や使用するアプリが、不動産会社から正式に案内されたものか
2027年3月以前に売却相談を始め、取引時確認や契約が4月以降になる場合には、どの方法で本人確認を行う予定なのか担当者に聞いておくとよいでしょう。
デジタル操作が苦手な場合も、早めに相談を
「ICチップ」「電子証明書」と聞くと、スマートフォンの操作に慣れていない方には少し難しく感じられるかもしれません。
ただ、2027年4月以降も、すべての人がスマートフォンだけで本人確認をしなければならないわけではありません。
一定の書類と郵送を組み合わせる方法など、ICチップ付き本人確認書類を利用することが難しい人への補完的な方法も設けられています。
どの方法が使えるかは、本人の状況と不動産会社の対応によって変わります。
「スマートフォンでの読み取りが難しい」
「運転免許証の暗証番号が分からない」
「マイナンバーカードを持っていない」
といった事情があれば、契約日が決まってからではなく、早めに担当者へ伝えておくのがおすすめです。
本人確認方法の変更だけを理由に、売却を急ぐ必要はない
2027年4月に制度が変わるからといって、それまでに急いで不動産を売却する必要があるわけではありません。
売却時期は、
- 住み替えの予定
- 相続手続き
- 建物の状態
- 資金計画
- 不動産市場の状況
などを含めて考えるものです。
今回変わるのは、主に本人特定事項を確認するための方法です。
所有者や登記名義、共有関係、本人確認書類などを早めに整理しておけば、制度改正後でも手続きの見通しを立てやすくなります。
宅地建物取引業者は、宅地・建物の売買契約の締結やその代理・媒介を行う場合、契約締結に先立って取引時確認を行う必要があります。
決済日や引き渡し日が決まっている取引では、余裕を持って準備しておくと安心です。
まとめ
2027年4月1日から、不動産売買でも本人確認方法が変わります。
特に大きいのは、
本人確認書類の「見た目」やコピーだけではなく、ICチップに記録された情報などを利用して確認する方向へ変わること
です。
マイナンバーカードが必須になるわけではありません。
運転免許証や在留カードなどを利用できる方法もあり、ICチップ付き本人確認書類を使うことが難しい場合には、一定の公的書類と郵送を組み合わせる方法などもあります。
売主・買主が制度上の本人確認方法をすべて覚える必要はありません。
大切なのは、
「どの本人確認書類を持っているか」
「現在の住所と書類の住所が合っているか」
「遠方から手続きするのか」
「共有者や代理人がいるのか」
といった事情を早めに不動産会社へ伝えておくことです。
特に遠方売却や共有名義、相続した不動産では、本人確認以外にも確認する事項があります。
売却を正式に決める前の段階でも、必要になる手続きを一度整理しておくと、その後の計画を立てやすくなります。
※法令・制度の内容は、2026年8月25日時点で確認できる警察庁、国土交通省、e-Govなどの公表情報をもとにしています。2027年4月1日の施行までに行政機関の案内や各社の実務運用が追加・更新される可能性があります。実際の取引時には最新情報をご確認ください。
物件の売却・購入のご相談はランドワークスまで
水戸市周辺の不動産について、県外からの売却、相続した実家、共有名義など、手続きに不安や疑問がある段階でもお気軽にご相談ください。
ランドワークスは地元で35年、不動産売買に携わってきました。
現在の状況を伺いながら、本人確認だけでなく、売却までに必要となる書類や手続き、進め方を一つずつ整理してご案内します。 「まだ売却するか決めていない」という段階からでもご相談いただけます。

