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不動産知識

相続人が行方不明の場合、不動産売却はどうなる?相続した実家や土地を売る前に知っておきたい手続きを解説

相続した実家や土地を売却したいと思っていても、相続人の一人と連絡が取れないケースがあります。

「兄弟の一人が長年音信不通になっている」
「住所が分からず、書類を送れない」
「親族の中に行方不明の人がいて、相続の話し合いが進まない」
「このままだと空き家の管理や固定資産税の負担だけが続いてしまう」

このような状況では、相続不動産の売却は簡単には進みません。

相続した不動産を売却するには、原則として相続人全員の関与が必要です。行方不明の相続人がいるからといって、その人を除いて勝手に手続きを進めることはできません。

ただし、行方不明の相続人がいる場合でも、一定の手続きを踏むことで売却に向けて進められる可能性があります。

この記事では、相続人が行方不明の場合に不動産売却はどうなるのか、どのような手続きが必要になるのか、売却前に確認すべきポイントを一般の方にもわかりやすく解説します。


相続人が行方不明だと、不動産売却はすぐには進められない

相続した不動産を売却するには、まず誰が相続人なのかを確認し、その相続人全員で話し合いをする必要があります。

この話し合いを「遺産分割協議」といいます。

遺産分割協議とは、亡くなった方の財産について、誰が何を相続するのかを相続人全員で決める話し合いのことです。

不動産を売却する場合には、次のような内容を決める必要があります。

・誰の名義にするのか
・不動産を売却するのか、誰かが取得するのか
・売却代金をどのように分けるのか
・売却にかかる費用を誰が負担するのか
・固定資産税や管理費をどう精算するのか

相続人の一人が行方不明の場合、この話し合いに参加できません。

そのため、他の相続人だけで「行方不明だから仕方ない」と判断して遺産分割協議を進めてしまうと、後から問題になる可能性があります。

不動産売却では、買主に所有権を移す必要があるため、相続関係や名義の整理ができていない状態では、売買契約や引渡しに支障が出ることがあります。


行方不明の相続人を無視して売却することはできない

相続人の一人が行方不明でも、その人には相続人としての権利があります。

連絡が取れないからといって、その人の相続分を勝手にないものとして扱うことはできません。

たとえば、父親が亡くなり、子ども3人が相続人になったとします。

そのうち2人が「実家を売却して現金で分けたい」と考えていても、残り1人が行方不明の場合、2人だけで不動産全体を売却することは難しくなります。

不動産の売却は、単に「売りたい人が多いから売れる」というものではありません。

相続人全員の権利を整理したうえで、適切な手続きを踏む必要があります。


まず確認したいのは「本当に行方不明なのか」

相続人と連絡が取れない場合でも、すぐに「行方不明」と判断するのは早いことがあります。

まずは、次のような状況を整理しましょう。

・最後に連絡を取った時期
・以前の住所
・勤務先や親族とのつながり
・携帯電話やメール、SNSで連絡が取れるか
・住民票や戸籍の附票などで住所が確認できるか
・郵便物が届くか、戻ってくるか

単に「普段連絡を取っていない」「親族関係が悪くて会っていない」という場合は、法律上の行方不明とは言えないこともあります。

住所調査や戸籍関係の確認によって、現在の住所が分かる場合もあります。

そのため、最初の段階では、司法書士や弁護士などの専門家に相談しながら、相続人調査を進めることが重要です。


相続人が見つかった場合は、通常どおり話し合いを進める

調査の結果、行方不明だと思っていた相続人の住所が分かった場合は、その人に連絡を取り、遺産分割協議に参加してもらうことになります。

このとき注意したいのは、いきなり売却への同意を求めるのではなく、状況を丁寧に説明することです。

長年連絡を取っていなかった相手に突然、「実家を売りたいので書類に署名してほしい」と伝えると、不信感を持たれることがあります。

説明する際は、次のような資料を整理しておくとよいでしょう。

・不動産の所在地
・現在の名義
・固定資産税の金額
・空き家の管理状況
・建物の傷みや修繕の必要性
・不動産会社の査定価格
・売却にかかる費用
・売却後の分配イメージ

相手が不安に感じやすいのは、「自分に不利な話を進められているのではないか」という点です。

客観的な資料をそろえて説明することで、話し合いが進みやすくなります。


見つからない場合は「不在者財産管理人」の選任を検討する

調査をしても相続人の所在が分からない場合には、「不在者財産管理人」という制度を利用することがあります。

不在者財産管理人とは、行方不明の人の財産を管理するために、家庭裁判所が選任する人のことです。

「不在者」とは、以前の住所や居所を去り、簡単には戻ってこない人のことをいいます。

相続人の一人が不在者にあたる場合、他の相続人などが家庭裁判所に申立てをして、不在者財産管理人を選任してもらうことがあります。

不在者財産管理人が選ばれると、その管理人が行方不明の相続人に代わって財産を管理します。

ただし、管理人が選ばれたからといって、何でも自由にできるわけではありません。

遺産分割協議に参加したり、不動産売却に関わったりする場合には、家庭裁判所の許可が必要になることがあります。


不在者財産管理人がいれば不動産売却は進められる?

不在者財産管理人が選任され、必要な許可を得ることで、行方不明の相続人がいる場合でも不動産売却に向けて進められる可能性があります。

ただし、手続きには時間がかかります。

家庭裁判所への申立て、資料の準備、管理人の選任、必要に応じた権限外行為許可など、通常の相続不動産売却よりも手順が増えます。

そのため、買主がすでに見つかっている場合でも、すぐに契約や引渡しができるとは限りません。

売却を検討している段階で、早めに専門家へ相談し、どのくらいの期間がかかりそうかを確認しておくことが大切です。


権限外行為許可とは?

不在者財産管理人は、基本的には行方不明の人の財産を守る立場です。

そのため、財産を管理したり保存したりすることはできますが、不動産を売却する、遺産分割協議に参加するなど、大きな判断をする場合には、家庭裁判所の許可が必要になることがあります。

この許可を「権限外行為許可」といいます。

少し難しい言葉ですが、簡単にいうと「管理人が通常の管理を超える行為をするために、家庭裁判所から許可をもらう手続き」です。

不動産の売却は大きな財産処分にあたるため、管理人だけの判断では進められないことがあります。

売却を前提に考える場合は、不動産会社だけでなく、弁護士や司法書士と連携しながら進めることが重要です。


不在者財産管理人の解任は?

一度選ばれた不在者財産管理人は、申立人や親族の都合で自由に解任・クビにすることはできません。法令違反などが発覚すれば裁判所からの解任は可能ですが、成年後見人と同様だと理解した方が良いと思われます。成年後見人制度は「法務省の天下り制度」とも揶揄されている為、親族等には寄り添っていない制度と捉え、出来る限りは使わない事をお勧めします。


長期間生死不明の場合は「失踪宣告」という方法もある

相続人が長期間にわたって生死不明の場合には、「失踪宣告」という制度を検討することもあります。

失踪宣告とは、生死が長期間分からない人について、法律上は亡くなったものとみなす制度です。

一般的には、生死が7年間明らかでない場合に検討されます。

また、災害や事故など、死亡の原因となる危険に遭遇した場合には、その危険が去った後1年間生死が明らかでないときに検討されることがあります。

失踪宣告が認められると、その人は法律上亡くなったものとして扱われ、相続関係が変わることがあります。

ただし、失踪宣告は非常に重い手続きです。

後から本人が生きていることが分かった場合には、失踪宣告の取消しなど、さらに複雑な問題が生じる可能性があります。

そのため、単に「連絡が取れないから」という理由だけで安易に考えるべきではありません。

不在者財産管理人の制度を利用するのか、失踪宣告を検討するのかは、行方不明になっている期間、生死不明の事情、相続関係、不動産売却の必要性などを踏まえて判断する必要があります。


相続登記も忘れてはいけない

相続した不動産を売却するには、原則として相続登記が必要です。

相続登記とは、亡くなった方の名義になっている不動産を、相続した人の名義に変更する手続きです。

買主に不動産を引き渡すには、売主側の名義が整理されていなければなりません。

相続人の一人が行方不明の場合、遺産分割協議ができず、相続登記が進まないことがあります。

また、相続登記は義務化されているため、「行方不明の相続人がいるから何もしない」という対応では、将来的に問題が大きくなる可能性があります。

事情によっては、相続人申告登記などの制度を利用できる場合もありますが、最終的な売却には名義や権利関係の整理が必要です。

まずは、相続登記の進め方について司法書士などに確認しておくと安心です。


行方不明の相続人がいる不動産で起きやすい問題

相続人が行方不明のまま不動産を放置すると、次のような問題が起きやすくなります。

空き家の管理負担が続く

実家が空き家になっている場合、売却できない間も管理は必要です。

草刈り、庭木の剪定、建物の換気、郵便物の確認、台風や大雨の後の点検などをしなければなりません。

管理を怠ると、近隣から苦情が入ったり、建物の劣化が進んだりする可能性があります。

固定資産税を誰が払うのか曖昧になる

不動産を所有している限り、固定資産税などの負担が続きます。

相続人の一人が行方不明の場合、他の相続人が立て替えて支払うケースもあります。

しかし、後からどのように精算するのかを決めておかないと、不満やトラブルにつながりやすくなります。

建物の価値が下がる

空き家は、人が住まなくなると傷みやすくなります。

雨漏り、湿気、シロアリ、設備の故障などが進むと、売却価格に影響することがあります。

早い段階で売却できれば選択肢があった物件でも、放置期間が長くなることで、解体前提の土地としてしか売れないこともあります。

相続人がさらに増える

相続手続きを放置している間に、他の相続人が亡くなると、次の相続が発生します。

これを数次相続といいます。

数次相続が起きると、関係する相続人が増え、連絡先の確認や合意形成がさらに難しくなります。

「今は面倒だから後で考えよう」と先送りにすると、将来もっと複雑になることがあります。


見つかる前の対策

共有財産でも民法で定められている権利と義務があります。その点を理解すれば「万が一に売却ができなくても」、一方的に損失を受けない対処が必要です。当然ながら「納税」の義務がある為に、利益を上げる必要があります。共有財産を管理していくなかで、「修繕」「維持管理」を行いながら、賃貸物件として貸し出す事で「収益」を得る事も可能です。共有者が見つからないから「何もしない」ではなく、積極的に介入し共有者の権利も大いに主張することも大切です。対象不動産の性質によっても異なりますが、手立てはあります。


売却に向けて最初に準備したい資料

相続人が行方不明の場合でも、不動産売却に向けてできる準備はあります。

まずは、次のような資料を集めておくとよいでしょう。

・登記事項証明書
・固定資産税の納税通知書
・名寄帳
・亡くなった方の戸籍関係資料
・相続人の関係が分かる戸籍資料
・行方不明者の最後の住所が分かる資料
・過去の連絡先や住所
・不動産の写真
・建物の状態が分かる資料
・過去の修繕履歴
・売却に関する相続人の意向

すべてを一度にそろえる必要はありません。

まずは、不動産の名義と相続人の範囲を確認することが大切です。

そのうえで、売却価格の目安、管理費用、解体や測量の必要性などを整理していきます。


不動産会社に相談するタイミング

「相続人が行方不明だから、売却の相談はまだ早い」と考える方もいます。

しかし、実際には早めに不動産会社へ相談することで、今後の見通しを立てやすくなります。

不動産会社に相談すると、次のような点を確認できます。

・現在の不動産価格の目安
・建物付きで売れる可能性
・土地として売ったほうがよいか
・解体や測量が必要か
・売却までに想定される課題
・居住中、空き家、老朽化などの状況別の売り方
・相続人に説明するための査定資料

行方不明者に関する法的手続きは、弁護士や司法書士の分野になります。

一方で、不動産会社は、売却価格や市場性、買主が見つかりやすい条件、売却に向けた準備を整理できます。

法律面と不動産実務の両方を並行して確認することで、手続き後にスムーズに売却へ進みやすくなります。


専門家との連携が重要

相続人が行方不明の場合、不動産会社だけで解決できない部分があります。

たとえば、次のような内容は専門家への相談が必要です。

・相続人調査
・戸籍や住民票関係の確認
・不在者財産管理人の申立て
・失踪宣告の申立て
・遺産分割協議書の作成
・相続登記
・権限外行為許可
・相続人同士の法的トラブル

不動産会社、司法書士、弁護士、税理士などが連携することで、手続きを整理しながら進めやすくなります。

特に、売却代金の分け方や税金、登記、裁判所の手続きが関係する場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。


よくある相談例

兄弟の一人が何十年も音信不通になっている

長年連絡を取っていない兄弟が相続人になっているケースです。

まずは戸籍や住所の調査を行い、現在の所在を確認します。

住所が分かれば、遺産分割協議に参加してもらう必要があります。

どうしても所在が分からない場合は、不在者財産管理人の選任を検討することになります。

相続人の住所は分かるが、連絡に応じてくれない

住所が分かっている場合は、単なる行方不明とは異なります。

この場合は、手紙を送る、専門家を通じて連絡する、遺産分割調停を検討するなど、別の対応が必要になることがあります。

「連絡を無視されている」のか、「本当に所在が分からない」のかを分けて考えることが大切です。

行方不明者の持分がある共有不動産を売りたい

すでに共有名義になっている不動産で、共有者の一人が行方不明になっているケースです。

不動産全体を売却するには、共有者全員の同意が必要になることが一般的です。

そのため、行方不明の共有者がいる場合は、不在者財産管理人の選任や家庭裁判所の許可が関係することがあります。

空き家の管理だけが続いて困っている

相続手続きが進まないまま、空き家の管理だけを一部の相続人が続けているケースです。

この場合、管理費用、固定資産税、草刈り費用、修繕費用などの負担が問題になりやすいです。

売却できる状態になるまでの間も、管理方法と費用負担を相続人間で整理しておくことが大切です。


放置せず、まずは状況整理から始める

相続人が行方不明の場合、不動産売却は通常より時間がかかることがあります。

しかし、手続きを進める方法がまったくないわけではありません。

大切なのは、次の順番で状況を整理することです。

・不動産の名義を確認する
・相続人の範囲を確認する
・行方不明者の所在調査を行う
・見つからない場合は不在者財産管理人を検討する

・賃貸用不動産として運用する
・長期間生死不明の場合は失踪宣告も検討する
・相続登記の進め方を確認する
・不動産の査定を取り、売却方針を決める

行方不明の相続人がいるからといって、何もできないと諦める必要はありません。

ただし、自己判断で手続きを進めると、後から売却が止まったり、相続人間のトラブルになったりする可能性があります。

早めに相談し、法律面と不動産面の両方から整理することが大切です。


まとめ

相続人が行方不明の場合、相続した不動産をすぐに売却することは難しくなります。

相続人の一人が見つからないからといって、その人を除いて勝手に遺産分割協議や不動産売却を進めることはできません。

まずは、本当に行方不明なのか、住所調査や相続人調査を行う必要があります。

それでも所在が分からない場合は、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てる方法があります。

また、生死不明の期間が長い場合には、失踪宣告を検討することもあります。

ただし、いずれも専門的な手続きになるため、弁護士や司法書士などの専門家に相談しながら進めることが重要です。

相続不動産は、放置すると空き家の管理負担、固定資産税、建物の劣化、相続人の増加などの問題が大きくなることがあります。

早めに状況を整理し、売却の可能性を確認しておくことが大切です。


相続人の一人が行方不明で、実家や土地の売却が進まずお困りではありませんか。

「相続人と連絡が取れない」
「誰に相談すればよいか分からない」
「空き家の管理だけが続いている」
「固定資産税や草刈りの負担が重い」
「売却できる可能性があるのか知りたい」
「相続人に説明するための査定資料がほしい」

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行方不明の相続人がいる場合には、必要に応じて司法書士や弁護士などの専門家と連携しながら、安心して進められる方法を一緒に考えます。

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