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不動産知識

市街化調整区域の不動産を売却するコツ|茨城県特有のルールや許可制度も紹介

「相続した実家の土地、自由に家が建てられないらしい…」 「売りに出しているけれど、一向に買い手がつかない」

所有している不動産をいざ売りに出そうと思ったとき、または、新たに不動産を相続した際、その土地が「市街化調整区域」にあると知って不安を感じる方は少なくありません。

とくに茨城県は農地面積が広く農業が盛んな土地柄のため、市街化調整区域に指定されたエリアが県内各地に広がっています。一般的な土地と同じ感覚で売り出すと、苦戦を強いられるのがこの区域の特徴です。

今回は、市街化調整区域がなぜ売れにくいのか、そして売却するための具体的な解決策を分かりやすく解説します。


そもそも、市街化調整区域とは?

市街化調整区域とは、都市計画法に基づいて都市の無秩序な発展を防ぐために指定されたエリア、一言で言えば「市街化を抑制することで、農地や自然を守るためのエリア」です。この区域では、新たな建物の建設や土地の再開発が厳しく制限されており、自治体の許可が必要となることが多いです。このため、自由な開発が難しく、不動産の価値や売却のしやすさに影響を及ぼします。

茨城県と市街化調整区域の関係

茨城県は関東地方の中でも特に農地面積が広く、全国的に見ても上位に位置する農業県です。そのため、県内には市街化調整区域に指定されたエリアが多く存在します。水戸市・つくば市・ひたちなか市などの都市部に隣接しながらも、調整区域に含まれている土地は少なくありません。

自分が所有する土地がどのエリアに該当するかは、各自治体の「都市計画課」の窓口や、茨城県が公開している「いばらきデジタルまっぷ」でインターネットからも確認できます。まずは自分の土地の「正体」を知ることから始めましょう。

市街化調整区域が設けられている目的

市街化調整区域が設けられているのには、主に以下のような目的があります。

・コンパクトシティの実現
高齢化・人口減少が進む茨城県でも、居住や生活サービス機能を利便性の高い場所に集積する「コンパクトシティ」の実現が重要な政策課題です。市街化調整区域はその一環として設けられており、インフラ整備や行政サービスの効率化にもつながっています。

・自然環境の保護
霞ヶ浦をはじめとする豊かな水辺環境や、県北の森林・緑地などの自然環境を守り、景観や生態系を維持するための区域です。

・農地の保護
農業が盛んな茨城県では農地の保護が特に重要です。無秩序な宅地開発が進めば農地が失われるおそれがあるため、農地の無計画な転用を防ぎ、農業経営の安定を図ることも大きな役割を担っています。なお、農林漁業を営む人の住宅や設備は、市街化調整区域内でも許可なしで建築することが認められています。


市街化調整区域の不動産が売れにくい理由とは?

市街化調整区域の不動産が売れにくい理由は多岐にわたります。以下に代表的な5つを解説します。

1. 建て替えや新築、活用の制限

最大のネックは、建物の建築や増改築に都道府県知事の許可(開発許可・建築許可)が必要な点です。誰でも自由に家を建てられるわけではないため、一般の居住用ニーズから外れてしまいます。

また、既存の建物の建て替えやリフォームにも制約があります。建て替え・リフォームの可否は、容積率や建ぺい率、延床面積の制限など自治体や土地の条件によって決まり、行政に申請して許可を得る必要がありますが、条件が厳しい場合も多く、計画の自由度が低くなります。

2. 生活利便性の低さ

市街化を抑制されているエリアのため、商業施設や公共交通機関が少なく、日常生活の利便性が低いことが多いです。茨城県は車社会ではありますが、高齢になるにつれて自動車に頼りにくくなる点も不安要素として意識されやすく、近くにコンビニやスーパーがないケースも珍しくありません。

3. インフラ不足

市街化調整区域は一般の方が暮らすことを想定していないエリアのため、電気・ガス・水道・下水道などのインフラが整っていない場合があります。茨城県の郊外部では都市ガスが通っておらずプロパンガスのみ、また浄化槽の設置が義務付けられるエリアも多く、買主が購入後にインフラを整備しようとすると数百万円単位の費用がかかることもあります。

4. 農地転用の手続きが必要

農業県である茨城県では、土地の地目(登記上の種類)が農地(田・畑)であるケースが特に多く見られます。農家以外の人に売るには「農地転用許可(農地法第5条)」が必要です。農業委員会による厳しい審査があり、市街化調整区域では許可が下りにくいケースも多いため、農地を含む土地は売却のハードルが特に高くなります。

5. 住宅ローンが通りにくい

銀行は「売りにくい物件」を担保として低く評価します。資産価値が低いとみなされるため、買い手が住宅ローンを組もうとしても審査が通らない、あるいは融資額が大幅に減額されるケースが多いのです。メガバンクなどは融資に消極的な一方、茨城県内のJA(農協)や地方銀行・信用金庫などは地域事情を理解しているため、比較的柔軟な審査が期待できる場合もあります。


茨城県でも売れやすい物件の特徴

市街化調整区域内にも売れやすい物件があります。スムーズに売却できる物件には以下のような特徴があります。

  • 都市計画法第60条証明書などを取得済み
    「建築可能」である証明書を取得済みのものです。この証明書があると、開発許可が不要で特定の建物を建築することができます。
  • 市街化区域に近接している
    水戸市・つくば市・ひたちなか市など市街化区域に近いエリアであれば、利便性が高く、開発許可も得やすいため需要が期待できます。
  • 既に建物が建っており、開発許可を取得済み
    過去に開発許可を得ている土地であれば再建築が可能です。また、茨城県で「線引き(市街化調整区域の指定)」が行われたのは多くの地域で昭和45〜49年頃であり、それ以前から存在する建物の場合、一定の条件内であれば建て替えが認められることがあります(同規模・同用途が条件で、自治体により基準が異なります)。
  • 茨城県の区域指定(34条11号・12号)に該当する土地
    茨城県では都市計画法第34条第11号・第12号に基づく独自の「区域指定条例」を定めており、一定の基準を満たした既存集落内であれば、誰でも住宅や小規模な店舗・事業所を建築できる制度があります。対象市町村(令和5年3月時点では稲敷市・茨城町・大洗町・城里町・美浦村・阿見町・八千代町・五霞町・利根町ほか)の物件は、売却の可能性が大きく広がります。
  • 広い平坦地
    資材置き場や駐車場、太陽光発電用地など、建物以外での用途での需要があります。

売却前に確認しておくべきこと

売却の成否は「その土地で買主が目的の建物を建てられるか」にかかっています。そのため、売主側で事前調査を行うことが重要です。

茨城県内の役所への確認事項(都市計画課・開発指導課など)

  • 都市計画法第34条の区域指定(11号・12号など)の対象か
  • 過去に開発許可・建築許可が下りているか
  • 建築基準法の接道義務はクリアできているか
  • 浸水想定区域など除外要件に該当していないか

なお、地目が農地の場合は農業委員会への相談も必要です。茨城県内の自治体では、水戸市・つくば市・日立市・土浦市などが「事務処理市町村」として独自に開発許可を行っているため、各市の窓口への確認が欠かせません。専門知識が必要なため、売却を依頼する不動産会社に調査を依頼するのが確実です。

価格の目安
市街化調整区域の物件は、隣接する市街化区域と比べて30〜50%程度、あるいはそれ以上に価格が低くなるのが一般的です。また、固定資産税評価でも近隣の市街化区域と比べて2〜3割ほど低く評価されることが多いです。現実的な価格設定が売却成功のカギです。

市街化調整区域の不動産を売却するためのコツ

1. ターゲットを絞る

売却においては、不特定多数に情報を向けるよりも、制限があっても活用したい方に確実に情報を届けたほうが成功率は上がります。茨城県内で考えられる具体的な候補は以下のとおりです。

  • 隣地の所有者:土地を買い増して敷地を一体化したい、農作業用の駐車スペースを広げたいというニーズに対応できます。最初にアプローチすべき有力候補です。
  • 農業従事者・農家:農業が盛んな茨城県では、農地として利用できる場合は農業委員会の許可のもと売却しやすくなります。周辺の農家へ積極的に声をかけてみましょう。
  • 田舎暮らし希望者・セカンドハウス希望者:都心からのアクセスもよい茨城県では、つくばエクスプレス沿線や常磐道沿いを中心に移住希望者の需要があります。静かな環境を好む層にとって、既存建物をリフォームして利用するスタイルが魅力的に映ることがあります。
  • 不動産買取業者:個人への売却が難しい場合、専門の買取業者は資材置場・駐車場・太陽光発電用地など事業者向けの活用ノウハウを持っており、現実的な選択肢となります。売却価格は市場価格より低くなる傾向がありますが、早期現金化を望む方には大きなメリットがあります。

2. 「停止条件付き契約(白紙解除特約)」を活用する

市街化調整区域の売買では、「開発許可・建築許可が得られなかった場合は売買契約を白紙に戻し、手付金を全額返還する」という特約を契約書に盛り込むことが一般的です。買主が許可取得という不確実なハードルに安心して挑戦できるため、売却のチャンスが広がります。

3. 茨城県に精通した地元の不動産会社に相談する

大手不動産会社は、効率の悪い調整区域の物件を敬遠することがあります。茨城県内の開発許可基準や各自治体の運用方針(特に水戸市・つくば市などの事務処理市町村ごとのルール)を熟知している地元の不動産会社に相談することが、売却成功への近道です。必ず複数社に査定を依頼し、売却戦略と査定額の両面から比較検討しましょう。

4. 適正価格を設定して売り出す

茨城県の市街化調整区域は居住ニーズが低く、市街化区域と同じような価格だと売却期間が長引いてしまいます。需要と相場を見極めて、適正な売出価格を設定することが重要です。

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