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内水氾濫と外水氾濫の違い|浸水リスクの基礎知識

大雨や台風のあと、テレビやニュースで「氾濫」という言葉を耳にすることは多いのではないでしょうか。

ただ、氾濫にはいくつかの種類があることは、あまり知られていません。

代表的なものが「内水氾濫」と「外水氾濫」です。

同じ「浸水」でも、原因や被害の広がり方、注意すべき場所は大きく異なります。

「川が近くにないから、浸水の心配はない」

そう考えている方もいるかもしれませんが、この2つの違いを知っておくと、その考え方が必ずしも正しくないことが分かります。

住まい探しで確認するハザードマップにも、「洪水」と「内水(雨水出水)」という、それぞれ別の地図を用意している自治体があります。

この記事では、内水氾濫と外水氾濫の違いを整理しながら、茨城県内で住まいを探す際にどのような点を確認しておくとよいかを紹介します。


外水氾濫とは?川の水があふれ出す氾濫

外水氾濫のイメージ画像

外水氾濫とは、河川や湖沼などの水位が大雨や台風、融雪などによって上昇し、堤防を越えたり、堤防そのものが壊れたりして、川の外に水が広がる現象のことです。

一般的に「川が氾濫した」というときにイメージされるのは、多くの場合この外水氾濫です。

外水氾濫が起こると、川の水が短時間のうちに勢いよく市街地へ流れ込みます。水の勢いが強く、浸水する範囲が広くなりやすいことに加えて、家屋が流されたり大きく壊れたりする被害につながることもあります。また、川の水には土砂が混ざっていることが多く、水が引いたあとの片付けや復旧にも時間がかかりやすいといわれています。

茨城県内でも、外水氾濫による大きな被害が過去に何度も発生しています。2015年の関東・東北豪雨では鬼怒川の堤防が決壊し、2019年の令和元年東日本台風では那珂川や久慈川など県内の複数の河川で堤防の決壊や越水が発生しました。いずれも、川の水があふれ出した外水氾濫にあたります。

参考資料:水戸市「県管理河川における洪水浸水想定区域」

参考資料:茨城県「茨城県管理河川の洪水浸水想定区域図」

内水氾濫とは?川があふれなくても浸水する現象

一方、内水氾濫とは、市街地に降った雨が下水道や側溝、水路などの排水能力を超えてしまい、行き場を失った雨水があふれ出す現象です。「浸水害」と呼ばれることもあります。

内水氾濫は、大きく2つのタイプに分けられます。

  • 氾濫型:排水路や下水道が大雨や河川の増水に耐えきれず、少しずつ水があふれていくタイプ
  • 湛水型:川の水位が上がり、排水路などを通じて川の水が逆流してくるタイプ

氾濫型の内水氾濫は、河川の有無に関わらず発生します。全国的に排水能力は、一時間の雨量が、50ミリまでと考えられており、それ以上の雨量が断続的に降り注ぐ事で、排水能力の限界を突破してしまいます。また、道路側溝の役割は「道路に降り注いだ雨水の排水」に限られており、宅地に降り注いだ雨水は、計算外となっています。最近の新築住宅では雨どいから、直接地面の排水桝に直結しており、雨水貯留槽に一旦留め置き、浸透させ道路側溝などには放流しない仕組みになっています。しかし、それ以前の建物や、雨水貯留槽を設置していない住宅等では今でも直接、道路に放流しているのが現状です。構造的に内水氾濫を生み出すこととなっています。つまり、大きな川が近くになくても、舗装された道路や目に見えない勾配など低くなっている地域では、内水氾濫が起こる可能性があるということです。都市化が進み地面に雨水がしみ込みにくくなった地域ほど、内水氾濫が起こりやすくなる傾向もあるといわれています。


内水氾濫と外水氾濫、何が違うのか

2つの違いを整理すると、次のようになります。

項目外水氾濫内水氾濫
主な原因河川の水位上昇・堤防の決壊や越水排水路や下水道の能力を超えた雨水の滞留
水の出どころ河川の外側から流れ込むその土地に降った雨そのもの
河川との関係河川の近くで発生しやすい河川がない地域でも発生する
発生の速さ急激に、短時間で大量の水が押し寄せる雨の降り方に応じて、じわじわ水位が上がることが多い
被害の範囲・深さ広範囲に及び、浸水が深くなりやすい範囲は限定的で、浸水は比較的浅いことが多い
発生頻度の傾向比較的低い比較的高い

国土交通省がまとめたデータによると、過去10年間に発生した水害の被害額のうち、外水氾濫など河川の氾濫によるものが約7割を占める一方、内水氾濫による被害額は約3割にとどまっています。一方で、浸水した建物の棟数で見ると、内水氾濫によるものが約6割を占め、外水氾濫よりも多くなっています。

つまり、外水氾濫は一度起きると被害の規模が大きくなりやすく、内水氾濫は規模こそ比較的小さいものの、発生する頻度が高いという特徴があります。「川から離れているから安心」ではなく、内水・外水どちらのリスクも確認しておくことが大切です。

大きな川がなくても油断できない、茨城県内の内水氾濫リスク

ここまで紹介してきた茨城県内の大きな水害、たとえば鬼怒川、那珂川、久慈川などの被害は、いずれも外水氾濫にあたります。ただし、これは内水氾濫のリスクが小さいという意味ではありません。

平成27年と令和3年の水防法改正により、内水による被害が想定される公共下水道を対象に、「雨水出水浸水想定区域図」(内水浸水想定区域図)の指定・公表が進められるようになりました。

たとえばつくばみらい市では、公共下水道の排水区域を対象に、想定し得る最大規模の降雨が降った場合の内水氾濫による浸水範囲や深さを示した「雨水出水浸水想定区域図」を公表しています。

このように、茨城県内でも大きな河川の氾濫だけでなく、市街地に降った雨があふれる内水氾濫についての情報整備が少しずつ進んでいます。住まいを選ぶ際には、検討しているエリアでこうした情報が公表されているかどうかも、確認しておきたいポイントです。

参考資料:つくばみらい市「雨水出水浸水想定区域図を公表します」

参考資料:国土交通省水管理・国土保全局「内水浸水想定区域図作成マニュアル(案)」


ハザードマップで確認する:洪水と内水(雨水出水)は別の地図

住まい探しでハザードマップを確認する際に知っておきたいのが、「洪水浸水想定区域図」と「内水(雨水出水)浸水想定区域図」は、それぞれ別の地図として作成されているということです。

洪水浸水想定区域図は、河川ごとに、堤防が決壊するなどして外水氾濫が起きた場合の浸水範囲を示したものです。茨城県が管理する河川と国が管理する河川とでは作成主体が分かれており、想定する大雨の降り方も異なります。

一方、内水(雨水出水)浸水想定区域図は下水道や排水施設が対象で、市街地に降った雨があふれた場合の浸水範囲を示しています。ただし、すべての市町村で内水のハザードマップが公表されているわけではなく、対象となる地域や整備状況は自治体によって異なります。

国土交通省・国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」にある「重ねるハザードマップ」を使うと、洪水・内水・土砂災害・高潮・津波などの情報を住所から重ねて確認することができます。まずはここで大まかな状況を確認したうえで、気になる地域があれば、市町村が作成している詳しいハザードマップも合わせて見ておくと安心です。

参考資料:国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」

参考資料:茨城県「茨城県管理河川の洪水浸水想定区域図」

大雨が近づいたら:国土交通省「川の防災情報」でリアルタイムに確認する

ハザードマップは、大雨や台風が来る前に、そのエリアにどのような浸水リスクがあるかをあらかじめ把握しておくための地図です。一方、実際に大雨や台風が近づいてきたときには、国土交通省が提供する「川の防災情報」というサイトも役立ちます。

このサイトでは、全国の河川の水位や雨量などの観測情報に加えて、河川に設置された監視カメラの映像をリアルタイムで確認することができます。近くの川の水位が上がっていないか、水があふれる兆候がないかを、自宅にいながら映像で確認できるのが特徴です。

住まい選びの段階ではハザードマップで想定されるリスクを確認し、実際に住み始めてからは「川の防災情報」で日頃から近隣の川の状況を確認する習慣をつけておくと、大雨のときの早めの避難判断にもつながります。

参考資料:国土交通省「川の防災情報」


茨城で住まいを選ぶときに確認しておきたいポイント

内水氾濫と外水氾濫の違いを踏まえると、住まい選びの際には次のような点を確認しておくと安心です。

  • 洪水(外水)ハザードマップで、想定される浸水の深さを確認する
  • 内水(雨水出水)ハザードマップが公表されていれば、あわせて確認する
  • 周辺よりも土地が低くなっていないか、実際に歩いて確かめる
  • 過去にその地域で浸水した記録がないか、市町村の窓口に確認する
  • 避難場所までの距離や経路を確認しておく
  • 大雨のときは「川の防災情報」で近隣の河川の水位やカメラ映像を確認する習慣をつけておく

同じ市内であっても、川沿いの低地なのか、少し離れた高台なのかによって、内水・外水それぞれのリスクは変わってきます。「茨城県だから」「この市だから」と大きく括るのではなく、候補となる地域ごとに確認していくことが、納得できる住まい選びにつながります。

まとめ

内水氾濫と外水氾濫は、どちらも「浸水」という結果は同じでも、原因や被害の広がり方が異なります。

外水氾濫は、川の水位が上がり堤防を越えたり決壊したりして起きる現象で、一度発生すると被害の範囲が広く、規模も大きくなりやすいものです。

内水氾濫は、市街地に降った雨が排水能力を超えてあふれる現象で、一時間の雨量が50ミリを超える場合には、河川の有無に関わらずどこでも起こりうる、発生頻度の高いリスクです。

茨城県内でも、鬼怒川や那珂川、久慈川といった大きな河川による外水氾濫の記録が残る一方、市町村レベルでは内水氾濫を想定したハザードマップの整備も進められています。

住まいを選ぶときは、洪水(外水)ハザードマップだけでなく、内水(雨水出水)ハザードマップもあわせて確認し、土地の高さや過去の浸水履歴まで含めて検討することをおすすめします。


茨城への住み替えを検討する中で、「ハザードマップの見方がよく分からない」「この地域は内水と外水、どちらのリスクに注意すればよいのか知りたい」という段階でも構いません。

当社は地元・茨城で30年以上、不動産に携わってきました。公的なハザードマップの情報を確認しながら、地域ごとの土地の特徴や暮らしやすさについて、これまで見てきたことをふまえてお伝えできることもあります。

現在のお住まいの売却を含め、茨城への住み替えを検討し始めた段階からお気軽にご相談ください。

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