空き家のこと
空き家の近隣トラブルを防ぐには?「放置しているつもりはない」が通じなくなる前に確認したい管理と売却のポイント
相続した実家や、住み替え後に使わなくなった家を、空き家のままにしている方は少なくありません。
ただ、所有者としては「たまに見に行っている」「すぐに使う予定はないだけ」と思っていても、近隣の方から見ると、事情はそこまで伝わりません。
見えるのは、伸びた草、はみ出した枝、たまったチラシ、傷んだ外壁、倒れそうな塀です。
「草が伸びていて困っている」
「庭木の枝がこちらの敷地に入っている」
「虫が増えている気がする」
「建物の一部が壊れていて危ない」
「敷地内にゴミを捨てられている」
このような連絡を受けると、驚いたり、申し訳なく感じたりする方も多いと思います。
空き家の近隣トラブルは、所有者に悪意がなくても起こります。むしろ多いのは、「迷惑をかけるつもりはなかった」というケースです。
しかし、近隣の方にとっては、所有者の事情よりも、日々の生活に影響が出ているかどうかが問題になります。
近隣トラブルを放置すると、人間関係がこじれるだけでなく、売却時の印象や販売活動にも影響することがあります。購入を検討する方が現地を見たときに、「この家、大丈夫かな」「近所と揉めていないかな」と不安を感じる可能性もあります。
この記事では、不動産売却を検討している方に向けて、空き家で起こりやすい近隣トラブル、所有者ができる管理のポイント、売却を考えるべきタイミングについて、わかりやすく解説します。
空き家はなぜ近隣トラブルになりやすいのか

空き家は、人が住んでいる家と比べて、どうしても管理の目が届きにくくなります。
人が住んでいれば、庭の雑草、郵便物、建物の破損、雨漏り、虫の発生などに早く気づけます。ところが空き家になると、異変に気づくまで時間がかかります。
そして、その異変に先に気づくのは、多くの場合、所有者ではなく近隣の方です。
空き家が近隣トラブルになりやすい主な理由は、次のとおりです。
・雑草や庭木が伸びても気づきにくい
・建物の破損や劣化を発見しにくい
・郵便物やチラシがたまり、管理されていない印象になる
・害虫や小動物が発生しやすい
・不法投棄や不法侵入の対象になりやすい
・所有者が遠方にいて、対応が遅れやすい
・近隣の方が誰に連絡すればよいかわからない
空き家の問題で難しいのは、「所有者に悪気がないこと」と「近隣が迷惑していること」が、同時に起こり得る点です。
「忙しくて行けなかった」
「遠方でなかなか見に行けなかった」
「そのうち片付けようと思っていた」
所有者側には事情があります。
ただ、近隣の方からすると、毎日目に入る空き家の状態がすべてです。草は事情を聞いてから伸びるわけではありませんし、虫も所有者の都合を待ってくれません。
だからこそ、早めに現地を確認し、管理を続けるのか、売却するのかを整理することが大切です。
空き家で多い近隣トラブル
空き家の近隣トラブルには、いくつかの典型的なパターンがあります。
ここでは、不動産売却の相談でもよく話題になる内容を整理します。
雑草が伸びて虫が発生する
空き家の庭を放置していると、雑草が伸び、蚊、ハチ、毛虫、ムカデなどの虫が発生しやすくなります。
特に春から夏にかけては雑草の成長が早く、数か月見に行かないだけで、想像以上に庭が荒れてしまうことがあります。
所有者としては「少し草が伸びているだけ」と感じるかもしれません。
しかし、隣に住んでいる方からすると、毎日その草を見ています。虫が増えた、草が敷地に入ってくる、見た目が悪いなど、じわじわと不満がたまりやすい部分です。
売却を考えている場合も、庭が荒れていると購入検討者の印象は悪くなりやすくなります。
建物の中を見る前に、外観で「管理されていなさそう」と思われてしまうのは、かなりもったいないことです。
庭木の枝が隣地や道路にはみ出す
庭木の枝が隣地や道路へはみ出すことを、一般的に「越境」といいます。
越境とは、本来の敷地境界を越えて、樹木、建物、塀などが隣地や道路側に出ている状態のことです。
庭木の枝が隣家に入ると、落ち葉、日当たり、雨樋の詰まり、車や建物への接触などの問題につながることがあります。道路側にはみ出している場合は、歩行者や車の通行の妨げになることもあります。
2023年4月1日の民法改正により、越境された土地の所有者が、一定の場合に越境した枝を自ら切り取ることができるようになりました。
ただし、だからといって「勝手に切られても仕方ない」と考えるのは危険です。原則としては、まず木の所有者に切除を求めることが基本です。
トラブルを防ぐためには、近隣から強く言われる前に、所有者側で状況を確認し、必要に応じて剪定することが大切です。
近隣から何度も言われてから動くより、先に整えておくほうが、関係も売却時の印象も守りやすくなります。
落ち葉や枯れ枝が近隣の負担になる
庭木が大きくなると、落ち葉や枯れ枝の問題も出てきます。
落ち葉が隣地や道路にたまると、近隣の方が掃除をしなければならなくなることがあります。雨樋に落ち葉が詰まると、雨水があふれる原因になることもあります。
所有者から見ると「自然に落ちた葉っぱ」でも、近隣から見ると「なぜこちらが片付けなければならないのか」という話になります。
また、台風や強風で枝が折れた場合、隣地の建物や車に当たる可能性もあります。
庭木が大きくなりすぎている空き家は、売却前の印象だけでなく、安全面からも早めに確認したほうがよいでしょう。
建物の老朽化で危険を感じさせる
空き家の建物が古くなってくると、屋根、外壁、雨樋、塀、門扉などが傷んでくることがあります。
例えば、次のような状態は近隣に不安を与えやすいです。

所有者にとっては「古い家だから仕方ない」と思える状態でも、近隣の方から見ると「台風で何か飛んできたらどうするのか」という不安になります。
強風や台風の際に部材が飛散すると、近隣の住宅や車、通行人に被害が出る可能性もあります。
売却前であっても、安全に関わる部分は放置せず、必要に応じて応急対応や専門家への相談を検討しましょう。
悪臭や害獣の問題
空き家では、換気不足、排水口の封水切れ、動物の侵入、ゴミの放置などによって悪臭が発生することがあります。
封水とは、排水管の途中にたまっている水のことです。下水の臭いや害虫が室内に上がってくるのを防ぐ役割があります。長期間水を流さないと、この水が蒸発し、臭いが上がることがあります。
また、ネズミ、猫、ハクビシンなどの小動物が入り込むと、フン害や臭いの原因になることがあります。
臭いの問題は、見た目以上に近隣のストレスになりやすい部分です。
「空き家の中の問題だから関係ない」と思っていても、臭いや害虫、害獣は敷地の中だけで止まってくれるとは限りません。
早めの確認が必要です。
不法投棄される
管理されていない印象の空き家は、不法投棄の対象になることがあります。
敷地内にゴミや家電、タイヤ、不用品などを捨てられると、見た目が悪くなるだけでなく、処分の手間や費用が発生します。
厄介なのは、一度ゴミを放置すると、「ここは捨ててもよい場所」と思われ、さらに不法投棄が増えることがある点です。
空き家は、きれいに管理されていれば「誰かが見ている」と感じさせることができます。
逆に、草が伸び、郵便物がたまり、ゴミが放置されていると、「誰も見ていない場所」に見えてしまいます。
不法投棄を見つけた場合は、写真を撮って状況を記録し、自治体や警察に相談しましょう。危険物や中身が不明なものは、自己判断で動かさないほうが安心です。
近隣から連絡が来たときの対応
近隣から空き家について連絡が来た場合、まずは落ち着いて状況を確認しましょう。
所有者としては驚くかもしれません。中には、「そんなに大げさに言わなくても」と感じることもあるかもしれません。
しかし、近隣の方は、急に怒っているのではなく、以前から気になっていたことを我慢していた可能性があります。
早めに対応することで、大きなトラブルになる前に解決できる可能性があります。
まずは内容を具体的に確認する
近隣から連絡が来たら、どの部分で困っているのかを具体的に確認します。
例えば、次のような点です。
・雑草がどの場所で伸びているのか
・枝がどの程度はみ出しているのか
・虫や臭いはいつ頃から気になるのか
・建物のどの部分が危ないのか
・ゴミがどこに捨てられているのか
・写真で状況を確認できるか
内容があいまいなままだと、対応がずれてしまうことがあります。
可能であれば写真を送ってもらい、現地の状況を把握しましょう。
早めに対応予定を伝える
すぐに対応できない場合でも、「確認します」「業者に相談します」「何日頃までに現地を見ます」といった形で、対応予定を伝えることが大切です。
何も返答しないまま時間が経つと、近隣の方の不安や不満は大きくなります。
空き家トラブルで一番避けたいのは、「言っても何もしてくれない」と思われることです。
遠方に住んでいてすぐに現地へ行けない場合は、親族、管理会社、草刈り業者、不動産会社などに現地確認を依頼する方法もあります。
感情的なやり取りを避ける
近隣トラブルでは、感情的なやり取りを避けることが大切です。
所有者側からすると「そこまで言われるほどではない」と感じることもあるかもしれません。
一方で、近隣の方は日常的にその空き家の影響を受けている場合があります。
ここで言い返してしまうと、問題は草や枝ではなく、人間関係のトラブルに変わってしまいます。
まずは相手の困りごとを受け止めたうえで、現地確認と必要な対応を進める姿勢が大切です。
空き家の近隣トラブルを防ぐ管理ポイント
近隣トラブルを防ぐには、問題が起きてから対応するだけでなく、定期的な管理が重要です。
「何かあったら連絡が来るだろう」と考えていると、連絡が来た時点ですでに不満がたまっていることもあります。
定期的に現地確認をする
空き家は、月1回程度を目安に現地確認できると安心です。
難しい場合でも、季節の変わり目や台風・大雨の後、草が伸びやすい時期には確認したほうがよいでしょう。
現地確認で見ておきたいポイントは次のとおりです。

空き家の管理は、建物のためだけでなく、近隣との関係を保つためにも大切です。
草刈り・剪定を定期的に行う
雑草や庭木は、近隣トラブルの原因になりやすい部分です。
特に春から夏にかけては成長が早いため、定期的な草刈りや剪定を検討しましょう。
遠方に住んでいる場合は、草刈り業者、シルバー人材センター、空き家管理サービスなどに依頼する方法もあります。
ただし、売却を考えている場合は、大がかりな伐採や庭全体の整備に費用をかける前に、不動産会社に相談することをおすすめします。
売却方法によっては、最低限の草刈りだけで十分な場合もあります。
見た目を整えることは大切ですが、売却で回収できない費用まで先にかけてしまうのは避けたいところです。
郵便物やチラシをためない
郵便受けにチラシや郵便物がたまっていると、空き家であることが外からわかりやすくなります。
これは防犯面でもよくありません。
「誰も見に来ていない家」に見えると、不法投棄や不法侵入のリスクを高めることがあります。
郵便物の転送手続きをする、親族に回収を依頼する、管理サービスを利用するなど、郵便受けがあふれないようにしておきましょう。
破損箇所を放置しない
窓ガラスの割れ、外壁の剥がれ、雨樋の外れ、塀の傾きなどは、近隣に不安を与えます。
特に、道路や隣地に影響する可能性がある破損は、早めに対応しましょう。
売却予定がある場合でも、安全上の問題がある箇所は放置しないことが大切です。
ただし、高額な修繕をする前には、売却方法とのバランスを確認しましょう。
中古住宅として売るのか、古家付き土地として売るのか、解体前提で売るのかによって、必要な対応は変わります。
遠方で管理できない場合の選択肢
相続した実家が遠方にある場合、近隣トラブルを防ぐための管理が大きな負担になることがあります。
草刈り、郵便物の確認、室内の換気、通水、建物の確認、台風後の点検などを継続するには、時間も費用もかかります。
気持ちの問題としても、「いつか何とかしなければ」と思いながら、何年も経ってしまうことがあります。
遠方の空き家で管理が難しい場合は、次のような選択肢があります。
・親族で管理分担を決める
・近隣の方に緊急時の連絡先を伝える
・空き家管理サービスを利用する
・草刈りや剪定だけ業者に依頼する
・不動産会社に現地確認を相談する
・売却を検討する
今後使う予定がある空き家であれば、管理サービスを利用しながら維持する方法もあります。
一方で、使う予定がなく、管理だけが負担になっている場合は、売却を検討することで、近隣トラブルの不安や管理費用を減らせる可能性があります。
空き家は、持っているだけなら何も起きないように見えます。
しかし実際には、固定資産税、草刈り、修繕、防犯、近隣対応など、見えにくい負担が積み重なっていきます。
近隣トラブルがある空き家でも売却できるのか
近隣から苦情が来た空き家でも、売却できる可能性はあります。
ただし、トラブルの内容や程度によっては、売却前に整理しておいたほうがよいことがあります。
例えば、次のような対応です。
・雑草を刈る
・越境している枝を剪定する
・不法投棄されたゴミを片付ける
・危険な破損箇所を確認する
・近隣からの苦情内容を整理する
・境界や越境の有無を確認する
・買主に説明が必要な内容を把握する
特に、庭木の越境や境界に関する問題は、売却時に買主が気にするポイントです。
購入後に近隣と揉めそうな物件は、買主にとって不安材料になります。
売却後に買主と近隣の方との間でトラブルになることを避けるためにも、事前に状況を確認しておくことが大切です。
売却前に近隣トラブルを整理するメリット
売却前に近隣トラブルを整理しておくと、販売活動を進めやすくなります。
主なメリットは次のとおりです。
・購入検討者に安心感を与えやすい
・内見時の印象が良くなる
・価格交渉の材料を減らしやすい
・売却後のトラブルを防ぎやすい
・近隣との関係を悪化させにくい
・不動産会社が販売方針を立てやすい
もちろん、すべてを完璧に解決しなければ売れないわけではありません。
大切なのは、どのような問題があり、どこまで対応すべきかを整理することです。
費用をかける前に、不動産会社に相談し、売却方法に合わせて対応を考えるとよいでしょう。
先に修繕・片付けをするべきか、相談してから決めるべきか
近隣から苦情が来ると、急いで修繕や片付けをしなければと感じるかもしれません。
もちろん、安全に関わる問題や、近隣に迷惑が出ている問題は早めの対応が必要です。
一方で、売却を考えている場合は、大きな費用をかける前に不動産会社へ相談することをおすすめします。
例えば、建物を中古住宅として売る場合と、古家付き土地として売る場合では、必要な対応が変わります。
中古住宅として売る場合は、内見時の印象を整えるため、草刈り、簡易清掃、最低限の補修が役立つことがあります。
一方で、買主が解体を前提に購入する場合は、大規模な修繕や庭全体の整備をしても、費用を回収しにくいことがあります。
売却前に確認したいポイントは次のとおりです。
・現状のまま売れる可能性があるか
・先に草刈りや剪定をするべきか
・修繕が必要な箇所はどこか
・解体して売るべきか、古家付きで売るべきか
・近隣トラブルとして買主に説明が必要か
・費用をかけることで売却にプラスになるか
自己判断で進めるより、売却方針を確認したうえで必要な対応を行うほうが、無駄な出費を避けやすくなります。
売却を検討したほうがよいケース
空き家の近隣トラブルが続いている場合、売却を検討するタイミングかもしれません。
特に、次のような状況に当てはまる場合は、一度相談してみることをおすすめします。
・今後住む予定がない
・遠方に住んでいて管理が難しい
・近隣から苦情が来たことがある
・雑草や庭木の管理が負担になっている
・建物の老朽化が進んでいる
・修繕費をかけるべきか迷っている
・不法投棄や不法侵入が心配
・相続人同士で管理方針が決まらない
・固定資産税や管理費が負担になっている
空き家を持ち続けることは、固定資産税だけでなく、管理の手間、近隣対応、修繕費、防犯面の不安も伴います。
将来使う予定がない場合は、売却することで負担を整理できる可能性があります。
「そのうち何とかする」と思っている間にも、空き家は少しずつ傷み、草木は伸び、近隣の不満は積み重なっていきます。
早めに方針を決めることは、所有者自身の負担を減らすためにも大切です。
まとめ
空き家の近隣トラブルは、雑草、庭木の越境、落ち葉、害虫、悪臭、建物の破損、不法投棄など、さまざまな原因で起こります。
所有者に悪意がなくても、空き家は人の目が届きにくいため、気づかないうちに近隣へ迷惑をかけてしまうことがあります。
そして、近隣の方にとっては、「悪気がなかったかどうか」よりも、「今、生活に影響が出ているかどうか」が大きな問題になります。
近隣から連絡が来た場合は、まず状況を具体的に確認し、対応予定を伝えることが大切です。感情的なやり取りを避け、早めに現地確認や業者手配を行いましょう。
また、売却を検討している場合は、近隣トラブルを整理しておくことで、購入検討者に安心感を与えやすくなります。草刈り、剪定、破損箇所の確認、不法投棄されたゴミの対応など、必要な範囲を見極めることが大切です。
ただし、大きな修繕や解体、伐採に費用をかける前には、不動産会社へ相談することをおすすめします。売却方法によって、必要な対応は変わります。
空き家の管理が負担になっている場合は、売却も一つの選択肢として早めに検討してみましょう。
空き家の近隣トラブルでお困りではありませんか。
「近隣から雑草や庭木について連絡が来た」
「空き家の管理に行けず、周囲に迷惑をかけていないか心配」
「建物の老朽化や破損が気になっている」
「売却前にどこまで片付けや修繕をすればよいかわからない」
「現状のまま売れるのか相談したい」
このようなお悩みがある方は、早めにご相談ください。
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現地の状態を確認したうえで、近隣トラブルにつながりやすい箇所、売却前に整えるべきポイント、現状のまま売却できる可能性などをわかりやすくご説明します。
今すぐ売却するか決まっていない段階でもご相談いただけます。
空き家の近隣トラブルは、小さいうちに整理すれば対応しやすくなります。
「苦情が来てから考える」のではなく、「苦情が大きくなる前にどうするか」を、一緒に考えてみませんか。
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