不動産知識
不動産売却を成功させる「価格設定」のコツ
不動産売却は、人生の大きな節目。だからこそ「いくらで出すか」「誰に任せるか」「どう進めるか」が、売却スピードと最終手取りを左右します。本記事では、相場の見方から会社選び、媒介契約の違い、価格設計、売却準備まで、失敗しないための実務ポイントを網羅的に解説します。
1. 相場をつかむ:まずは“事実”から
売却の第一歩は「適正価格=市場相場」の把握です。
ポータルサイトで類似物件を比較
立地・面積・築年数・間取りが近い物件を横並びで確認。成約価格は売出より5〜10%下がる傾向があるため、売出価格だけで判断しないのがコツになります。

公的データで裏付けを取る
「レインズ・マーケット・インフォメーション」や「土地総合情報システム」で成約事例をチェック。信頼性の高いデータで相場感を補強できます。
一括査定サイトで複数社の査定を比較
査定価格だけでなく、根拠となる比較事例や説明ロジックが筋の通ったものかを確認。極端な高値提示は広告用の“甘い数字”の可能性もあるので注意が必要です。
2. 不動産会社を選ぶ:露出と透明性が命
売却成功のカギは、信頼できる会社選びにあります。
囲い込みを避ける
- 他社に物件情報を回さず、自社だけで取引を完結させようとする行為は、露出を減らし値下げ要因に。以下の3点を具体的に確認しましょう
①レインズ登録の有無
②他社問い合わせへの対応方針
③広告媒体と掲載スケジュール
- 報告の質を見極める
反響数・内見数・問い合わせ内容・価格反応など、次のアクションに繋がる報告があるかが重要。報告が形式的でなく、実務に活かせるかを確認しましょう。
3. 媒介契約の違い:目的に応じて選ぶ
媒介契約には3種類あり、それぞれ特徴があります。
| 契約種別 | 契約社数 | 自己発見取引 | 報告義務 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 専属専任 | 1社のみ | 不可 | 週1回 | 密に進めたい方向け |
| 専任 | 1社のみ | 可能 | 2週に1回 | バランス型 |
| 一般 | 複数社可 | 可能 | 義務なし | 広く声を掛けられる一方、活動が分散しやすい。 |
期間重視なら専任系、露出を最大化したいなら一般も選択肢。担当者の実務力で最終判断を。
4. 価格の決め方:戦略と“下限”を先に作る
- 売却目的を明確に
例)ローン完済/住み替え/資金確保 → 許容できる価格・期間・条件が変わります。 - 収支を試算
残債・諸費用・想定成約価格を整理。場合によっては売却を急がず、金融機関と条件変更を相談するのも合理的です。 - 売出価格は交渉余地を含める
近隣の成約事例・在庫状況・反響の強さを踏まえ、5〜10%の余地を見た売出設定が基本となります。 - 価格以外の条件も事前に明文化
値下げの下限/引渡時期/付帯設備の扱い/軽微な修繕の可否などを先に決めておくと、商談がスムーズに進みます。
5. 売却前のチェックリスト:後戻りをなくす
売却意思が固まったら、以下の調査を信頼できる不動産会社と進めましょう。
- 法令適合性
都市計画法・建築基準法・農地法など。昔は合法でも、今はNGのケースもあるため、行政機関での調査が必要。 - 現地・設備状態
劣化箇所、雨漏り、設備寿命、接道要件などを確認。旗竿地などは測量も早めに相談を。 - 権利関係
抵当権、地役権、賃貸借、相続などの整理。安全な決済進行のため、プロが主導する体制が不可欠です。
6. 反響データで“微調整”する
売出後は、数字で判断し、感情に引っぱられない仕組みを。
- 1〜2週で反応が薄い → 写真・説明・間取りの見せ方を修正
- 2〜4週で内見が少ない → 価格や条件の見直し
- 良い反応が続く → 強気維持 or 小幅調整
よくある質問(FAQ)
Q. 高めに出して、様子を見てから下げればOK?
A.初動で“的外れ”だと検索から外れ、反響の山を逃します。初動で反応を集め、データで微調整するのが王道です。
Q. 複数社に一般媒介で出せば早く売れる?
A.広く出せる一方、責任の所在が曖昧になり進行が遅れることも。担当者の手腕と報告の質で判断を。
Q. リフォームしてから売るべき?
A.高額リフォームは回収しにくいことが多く、軽微な修繕+清掃+魅せ方強化が費用対効果は高めです。
Q. いくらで売れるかは最終的に誰が決める?
A.売主様です。ただし、相場とデータの裏付けを基に納得度の高い意思決定を。
まとめ
・相場=売出ではなく“成約事例”で裏取りする
・会社選びは「露出」と「透明性」で判断
・価格は“目的→収支→交渉余地→下限決め”の順に設計
・初動データで素早く微調整し、最短距離で納得の成約へ
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