不動産知識
農地を相続した場合、売ることができるのか?
農地を相続することになったのですが、普段住んでいる場所と遠かったり、今後も農業をするつもりはないときどうすればよいのでしょうか?
相続した農地が都市部にある場合
まず、都市部にある農地の場合ですが、都市計画区域内の農地を農地以外に利用しようとする場合には、農業委員会に届け出をすれば可能です。
売却する場合は「5条の届け出」を、所有権移転登記申請の1週間以上前に提出すれば、特に問題はないでしょう。
それ以外の農地の場合
都市計画区域内の市街化調整区域、都市計画区域外(無指定地域)にある農地。これらに関しては、結論から言うと、農地以外に転用、例えば農地を住宅にすることはできません。
また、農業を営んでいない方に売却をすることもできません。どうして売ることができないのか。それは「農地法」という法律が関係しています。
農地法
農地法とは「農地の売買」や「農地転用(農地を農地以外の使い方にする)」を規制することで、国にとって大切な資源である農地を守る法律です。
農地を売却したり転用したりするには、農地法による許可申請が必要となり、農地法ごとに規制内容が決まっています。
農地の売買や賃借を規制する第3条、農地の農地以外への転用を規制する第4条、そして、農地を農地以外への転用することを前提とした農地売買を規制する第5条。
このように農地法は、国の資源である農地を守るというだけあり非常に強い法律に位置付けられています。
「農地を農地以外のものにすることを規制」されているため、農地の権利移転が可能なのは「相続」以外に「農地転用の許可」を得るしか方法はありません。
現在でも耕作されている場合には、相当に難しいとお考えください。
相続した農地が農業をやらずに何年か経過しているようであれば……
また「耕作放棄地」と呼ばれる、昔は農業をやっていたが過去一年間以上作物を育てておらず、この数年の間に再び農業として使うつもりのない土地というものがあるのですが、これが20年以上放棄されている場合は農業委員会に「非農地証明書」が発行されます。
または、災害などで復旧が困難な農地だと農業委員会に認定された時などにも「非農地証明書」が発行されます。
この「非農地証明書」があれば「地目変更登記」を行い、「山林」「雑種地」など農地以外の地目に変更することができれば、農地転用許可なく所有権の移転登記が可能となります。
相続された農地の状態によっては、こういった抜け道もあるので専門家に相談をしてみるとよいでしょう。