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不動産知識

不動産売却後の確定申告の流れとかかる経費について

不動産を売却した場合、確定申告を行う必要があります。

しかし、不動産売却後の確定申告の流れやかかる経費など、具体的な手続きや知識がわからない方は多いと思います。

本記事では、不動産売却後の確定申告の手続きについて解説します。


1.不動産売却後の確定申告の流れ

不動産売却後には、確定申告が必要です。
確定申告は、原則として翌年2月中旬から3月中旬の間に申告し、納税しなければなりません。
具体的な手続きの流れは、以下の通りです。

①確定申告をするために必要な書類を収集

  • 確定申告書B様式(第一表)
  • 確定申告書第三表(分離課税用)
  • 譲渡所得の内訳書
  • 不動産購入時の売買契約書のコピー
  • 不動産の取得費用が分かる領収書のコピー
  • 不動産売却時の売買契約書のコピー
  • 不動産の譲渡費用が分かる領収書のコピー
  • 登記事項証明書
  • 本人確認書類
  • 源泉徴収票

②利益を計算し、確定申告書を作成

売却価格から買い付け価格や諸経費を差し引いた差額が利益となります。
その利益に応じた税金を計算し、確定申告書を作成します。

③税務署に提出

確定申告書を税務署に提出し、税金を支払います。


2.利用する特例の決定

不動産売却後には、税金特例を利用することができます。
以下に、利用できる特例について解説します。

1.居住用財産3000万円控除

不動産売却後に使える税金特例の中でも代表的な制度です。
一般的な住宅の売却であればこの制度を適用することで、大きく税額を減らすことができます。

詳しくは「居住用財産3000万円控除について」で説明します。

2.10年超所有軽減税率の特例

居住用不動産を売却する場合、10年を超える所有期間であれば譲渡所得に対して軽減税率が適用されるという制度です。
居住用財産の定義を満たす必要がありますが、この特例は居住用財産を譲渡した場合の居住用財産3,000万円控除の特例を併用することができるのが大きなメリットです。
つまり、家を売却した際に利益が発生しても、そこに居住用財産3000万円控除を適用したうえで、10年超の所有期間であれば大きな減税効果を得られます。
 

ただし、住宅ローン控除や特定居住用財産の買換え特例との重複適用は受けられないので、注意が必要です。

3.特定居住用財産の買換え特例

居住用財産の定義を満たしたうえで、新しくマイホームを購入した際に受けられる特例です。
ただし、売却する家が10年を超える所有期間である必要があります。
この特例の適用を受けると、売却価格のうち、新しくマイホームを購入した価格と同額部分の課税が繰り延べられます。

例えば、1,000万円で購入したマイホームを5,000万円で売却し、7,000万円のマイホームに買い換えた場合、4,000万円の譲渡益が課税対象になります。
ですが、この特例を適用した場合、売却した年分で譲渡益への課税は行われず、買い換えたマイホームを将来譲渡したときまで譲渡益に対する課税が繰り延べられます。

うまく使えば大きなメリットを受けられますが、あくまでも次回に課税が繰り延べられるだけですので、よく考えて利用する必要があります。


3.必要書類の準備

不動産売却後の確定申告には、上記でも述べたような書類が必要となります。
不動産売却に際しては、売買契約書や物件登記簿謄本、譲渡所得税の申告書などがありますが、確定申告に必要な書類には以下のものが含まれます。

確定申告書B様式(第一表)

給与所得、事業所所得など所得の種類にかかわらず、使用できる確定申告書です。
主に事業所得や不動産所得を得ている個人事業主やフリーランスは、確定申告書Bを提出します。
確定申告書Bは、税務署や市区町村の担当窓口などで配布されています。
また、国税庁のウェブサイトからダウンロードして印刷することも可能です。

確定申告書第三表(分離課税用)

不動産所得を記入するための用紙です。
こちらも確定申告書同様、税務署や市区町村の担当窓口で配布されています。
た、国税庁のウェブサイトからダウンロードして印刷することも可能です。

譲渡所得の内訳書

土地や建物の譲渡(売却)による譲渡所得金額の計算用として使用する用紙です。
不動産の売却をした際に所有権移転登記等の情報をもとに確定申告期限前に郵送されてきます。
こちらも税務署などでもらえるほか、国税庁のウェブサイトからダウンロードして印刷することも可能です。

不動産購入時の売買契約書のコピー

不動産を購入した際に作成した契約書のコピーです。
取得費用を計算するために使用します。
なくても確定申告は可能ですが、支払い税金が増えてしまう可能性があります。

不動産の取得費用が分かる領収書のコピー

不動産の購入金額のほか、仲介手数料、印紙代、不動産所得税、登記費用、測量費用などが取得費用になります。これらがわかる書類を用意しましょう。
なくても確定申告は可能ですが、支払い税金が増えてしまう可能性があります。

不動産売却時の売買契約書のコピー

不動産を売却した際に作成した契約書のコピーです。
譲渡価格(売却価格)を証明するために必要です。

不動産の譲渡費用が分かる領収書のコピー

不動産の譲渡費用には、仲介手数料、印紙代、登録免許税、解体して売却したならば解体費なども含まれます。 これらを売り上げの経費として計上することで、譲渡所得額を抑えることができます。
これらがわかる書類を用意しましょう。

登記事項証明書

不動産の所有者や担保などの情報が記載された書類です。
法務局で取得することができます。

本人確認書類

確定申告にはマイナンバーの記載と、本人確認書類のコピーが必要になります。
インターネットで確定申告を行う際には、本人確認書類のコピーは不要です。

源泉徴収票

給与所得者の場合、確定申告に源泉徴収票が必要になります。
自営業の場合は不要です。


控除の特例を受けるために必要な書類

居住用財産3000万円控除に必要な書類 

●戸籍の附票(今までの住所が記載されている)の写しなど

自宅の売買契約日の前日において、住民票記載の住所と売却した自宅の住所が異なる場合のみ必要になります。

10年超所有軽減税率の特例に必要な書類

●戸籍の附票(今までの住所が記載されている)の写しなど

自宅の売買契約日の前日において、住民票記載の住所と売却した自宅の住所が異なる場合のみ必要になります。

●自宅の登記事項証明書

管轄法務局の窓口で請求するほか、郵送での請求、またインターネットでの取得。 詳しくは法務局のウェブサイトをご覧ください。

●売却した不動産が要件を満たすことがわかる各種証明書

特定居住用財産の買換え特例に必要な書類

●自宅の登記事項証明書

管轄法務局の窓口で請求するほか、郵送での請求、またインターネットでの取得。 詳しくは法務局のウェブサイトをご覧ください。

●住民票の写し

市区町村の担当窓口、またはコンビニエンスストアで取得することができます。
※コンビニエンスストアでの発行はできない地域もあります

●売却した不動産が要件を満たすことがわかる各種証明書

4.確定申告書の作成

必要書類が準備できたら確定申告書の作成に移ります。

自宅にインターネット環境がある場合は、e-Taxを利用して自宅から確定申告書類を作成できます。 もしインターネット環境がない場合は、税務署、または確定申告会場で確定申告用紙を入手しましょう。

確定申告書は、申告書Bや譲渡収支内訳書、分離課税用の申告書に記入を進めていきます。

また、確定申告期間中には、特定の期日で申告会場が設けられることがあります。 申告会場では、スタッフの方々が丁寧に説明してくださるので、地域の税務署の情報を確認して、申告用紙の作成を進めるのも一つの方法です。


5.確定申告手続き

確定申告書を作成したら、税務署に提出する必要があります。提出方法には、以下の方法があります。

・窓口提出

税務署の窓口に直接申告書を提出する方法です。申告書や必要書類をもって窓口へ行く必要があります。 確定申告期間中は会場も混みあうので余裕をもって手続きに行くほうがよいでしょう。

・郵送提出

税務署へ郵送によって申告書を提出する方法です。スタッフによる確認がないため、間違えた申告をしてしまうリスクがあります。 確定申告に慣れていないならば避けるべきでしょう。

・e-tax

インターネットや専用のソフトを使用して、申告書を提出する方法です。確定申告書を税務署に取りに行く必要がなく、自宅で申告できるため混みあう会場にいく必要もありません。 ここで作成した申告書を税務署に持参したり、郵送することも可能です。
参考:e-Tax 国税電子申告・納税システム


6.まとめ

不動産売却時の確定申告は、しっかりと手続きを行っておくことが大切です。
必要書類を用意し、計算方法を把握しておけば、スムーズに申告手続きを進めることができます。
また、締め切りには十分注意し、提出期限を守るようにしましょう。