空き家のこと
電気・ガス・水道を止めるべきか?メリット・デメリットを法改正とあわせて解説
空き家を所有しているが、電気・ガス・水道はどうすればよいか悩んでいる方へ。ライフラインの管理方法を誤ると、建物の劣化促進や高額な修繕費用につながるだけでなく、令和5年(2023年)12月に施行された改正空家法によって固定資産税が大幅に増える可能性もあります。
この記事では、電気・ガス・水道それぞれを「止めるべきか」「解約すべきか」について、メリット・デメリットを整理しながら正確に解説します。
空き家の光熱費はどのくらいかかる?
空き家は日常的に使用しないため、光熱費は月に1〜2回の管理訪問時に使用する程度です。そのため基本使用料に若干上乗せした程度の金額に留まります。
ただし、契約内容・地域・設備の有無によって大きく異なります。また、給湯器・浄化槽など常時電源が必要な設備がある場合は別途考慮が必要です。
コスト削減のためにすべてのライフラインを解約したいと考える方もいますが、後述するように水道だけは解約しないほうがよいケースがほとんどです。また、法的な管理義務の観点からも、安易な全解約はリスクを伴います。
電気・ガス・水道 解約の可否まとめ
| ライフライン | 解約の可否 | ポイント |
| 電気 | △ 条件による | 設備次第。ブレーカーで節電も可 |
| ガス | ○ 基本的に可 | 管理での使用頻度が低い |
| 水道 | × 非推奨 | 通水・排水トラップ維持に必要 |
電気:設備の有無で判断する
電気については、建物に以下のような設備があるかどうかで判断しましょう。
電気を通し続けたほうがよいケース
- 給湯器がある場合:凍結防止ヒーターが電気で動くため、電源を切ると配管が凍結・破損するリスクがある
- 浄化槽がある場合:ブロワー(送風機)が電気で動いており、停止すると浄化槽内の好気性バクテリアが死滅し、機能不全や悪臭の原因になる
- 管理・清掃のために訪問する場合:掃除機・エアコン・照明など、作業効率のために電気があると便利
電気を通したまま節約したい場合は、ブレーカーを「給湯器・浄化槽の回路だけON、その他はOFF」にする方法が有効です。スマートメーターを活用した遠隔監視サービスを利用する方法もあります。
電気を解約してもよいケース
- 給湯器・浄化槽など常時電力が必要な設備が一切ない
- 管理訪問の際にも電気を一切使用しない
電気解約のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ●基本料金(月額数百円〜1,000円程度)の節約 | ●給湯器・浄化槽など電力依存設備が機能停止する |
| ●漏電・電気系統のトラブルによる火災リスクの低減 | ● 管理訪問時の作業が不便になる(照明・エアコン・掃除機が使えない) |
| ● 再契約時に電気工事や手続きが必要になる場合がある |
水道:解約は非推奨。「通水」と「排水トラップ」の維持が重要
空き家のライフライン管理のなかでも、水道の解約はもっとも慎重に検討する必要があります。
長期間にわたって水を流さずにいると、次のような問題が発生します。
- 水道管内の水が滞留・腐敗し、赤水(錆による濁り)や異臭が発生する
- ゴムパッキン・バルブ類が乾燥・硬化し、水漏れや破損の原因になる
- 水道管の老朽化が進行し、修理・交換で多額の費用がかかることがある
こうした問題を防ぐために、1ヶ月に1回程度、各蛇口から1〜2分程度水を流す「通水」をおこなうことを推奨します。
排水トラップの維持が必要な理由
キッチン・洗面台・浴室・トイレなどの排水口の下には「排水トラップ」と呼ばれるU字型の水の封水(ふうすい)があります。この水が蒸発してなくなると、下水管からの悪臭が室内に漂い、ゴキブリ・ネズミ・害虫などが侵入しやすくなります。
長期間水を使用しない場合は、定期的に各排水口に水を流すか、排水口に蓋をするなどの対策が必要です。
水道に関するメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ● 通水により水道管・パッキンの劣化を防げる | ● 通水ができなくなり、水道管の劣化・破損リスクが高まる |
| ● 排水トラップの封水が維持され、悪臭・害虫侵入を防げる | ● 排水トラップが干上がり、悪臭・害虫侵入の原因になる |
| ● 管理訪問時の清掃・作業に使用できる | ● 再契約・配管修繕が必要になった場合、高額な費用がかかることがある |
※ 冬季に長期間空き家になる場合は、水道管の凍結防止として「水抜き」の対処も必要です。
ガス:基本的に解約して問題なし
ガスについては、電気・水道と比較して管理訪問時に使用する機会が少ないため、解約してもさほど問題になりません。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ● 基本料金(月額約1,000〜2,000円程度)の節約 | ● 管理訪問時に給湯・コンロが使えなくなる |
| ● ガス漏れ・爆発・火災リスクの低減 | ● 再契約時に開栓工事・保安点検の立ち会いが必要(数日〜1週間程度かかる場合がある) |
| ● 保安点検などの立ち会い対応が不要になる |
なお、プロパンガス(LPガス)の場合はボンベを引き取ってもらうだけで解約できますが、都市ガスの場合はガス会社への解約連絡と閉栓作業が必要です。
空き家の管理義務と法改正(令和5年12月施行)

ライフライン管理の判断には、法律上の管理義務もあわせて理解しておく必要があります。
重要:知っておきたい法改正(令和5年12月施行)
令和5年(2023年)12月13日、空家法の改正法が施行されました。主な改正ポイントは以下のとおりです。
① 「管理不全空家(かんりふぜんくうか)」の新設
特定空家になる前段階の空き家も市区町村が指導・勧告できるようになりました。
例:屋根や外壁の一部損傷、雑草の繁茂、害虫の発生など
② 固定資産税の住宅用地特例が解除される対象が拡大
従来:「特定空家」として勧告された場合のみ特例解除
改正後:「管理不全空家」として勧告された場合も特例解除
→ 土地の固定資産税が最大6倍、都市計画税が最大3倍になる可能性があります
③ 特例解除までの流れ
助言・指導(この段階で改善すれば特例は維持)
↓ 改善されない場合
勧告(翌年から住宅用地特例が解除)
↓ さらに改善されない場合
命令(違反すると50万円以下の過料)
↓
代執行(費用は所有者負担)
つまり、ライフラインをすべて解約し空き家を放置した結果、管理不全空家に認定されると、固定資産税が最大6倍に増える可能性があります。コスト削減のために全ライフラインを解約するのは、かえって損失が大きくなるリスクがあります。
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「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」の解説
特定空き家とはなにか?
よくある質問(FAQ)
Q. 水道の基本料金だけでも節約したい場合はどうすればよいですか?
A. 水道を解約せずに基本料金を支払いながら、月1回の通水管理を自分でおこなうか、空き家管理サービスに委託する方法が現実的です。基本料金は月額数百円〜2,000円程度と、水道管修繕費用(数十万円以上)に比べれば非常に安価です。
Q. 空き家の管理は自分でやらないといけませんか?
A. 自分で管理が難しい場合は、NPO法人や空き家管理専門業者、または自治体が指定する「空家等管理活用支援法人」に管理を委託することができます。改正空家法ではこうした支援法人制度も整備されました。
Q. 特定空家や管理不全空家に認定されてしまったらどうなりますか?
A. まず市区町村から助言・指導が行われます。この段階で適切に対処(修繕・草刈りなど)すれば認定が解除され、固定資産税の特例は維持されます。勧告まで進んでしまうと翌年から固定資産税の特例が解除されるため、助言・指導の段階での早期対応が重要です。
Q. 空き家を売却・賃貸に出す場合、ライフラインはどうすればよいですか?
A. 売却・賃貸を検討している場合は、買主・入居者が内覧・確認できるようにライフラインを維持しておくことをおすすめします。また、相続した空き家を売却する場合は、一定の条件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる特例(空き家特例)が利用できます。詳しくは税理士や不動産会社にご相談ください。
【まとめ】
電気
給湯器・浄化槽など電力依存設備があれば維持。なければ解約も可。維持する場合はブレーカーを活用してコストを抑える。
ガス
基本的に解約して問題なし。再契約時に時間がかかる場合があるので売却・賃貸前は早めに手配を。
水道
解約は非推奨。月1回程度の通水と排水口への定期的な水流しで、水道管の劣化・悪臭・害虫侵入を防ぐことが重要。
法的注意
令和5年(2023年)12月の空家法改正により、「管理不全空家」に勧告された場合、土地の固定資産税が最大6倍になる可能性があります。空き家を適切に管理し、建物の状態を良好に保つことが重要です。
電気・ガス・水道の管理でお悩みなら、まずは現状の設備チェックから始めましょう。
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